2024年5月1日(水)~5月10日(金)
瞬く間が重なると日常になる。
葉桜が見事な時季になりました。桜若葉という言葉は俳句の季語にもなっているそうですね。一方、葉桜には美しさのさかりを過ぎた年増の女性という意味もあるようです。そして「瞬く間」という言葉が沁みる季節です。一瞬の出来事に心が洗われる予感がします。
>> PM3 : 00 ガーデンテラス <<
自信が身のこなしにあらわれる。
❝ あまりにも偶然が重なった出来事に出くわした。あのホテルの庭園に藤棚がある。全身、黒でコーディネートされた女の方と軽く会釈した。もちろんこちらも、この20年ばかり、YYのブランドが好みのためお世話になっている。知り合いの映像作家が最近、「カラスのジョシュア」という本を上梓された。ずっと昔からカラスを飼いならせれば素敵だなーと思っていた。その時、一羽のカラスが女性の肩と藤棚のあいだをすり抜けた。その方は一瞬、驚かれたが次の瞬間には、「今のカレ、私たちに嫉妬したのかな?」と、ゆっくりと身繕いされた。❞
2024年5月11日(土)〜20日(月)
移りゆくは、しのび込むを隠している。
人間って面白いイキモノですね。季節が動くごとにその時の温度・湿度、それにわたってくる風により、気分を誘導されてしまう。時には少々の困りごとを抱えていても、まあニンゲンだものなーと、季節からの誘惑に負けてしまう。旅先では特にネ。
>> PM7 : 00 バーカウンター <<
初夏が届けてくれる匂い。
❝ 薫風は初夏によく似合う。この頃になると襟元をあけ、鯉の滝のぼりのネックレスをしたくなる。上品さのかけらもなく、どちらかといえば滝のぼりのイラストをそのまま立体にしたような粗野な雰囲気で身を纏いたくなる。モヒートが飲みたくなり、さて次はどうするかと妄想にふけっていると、「5月の風にあたっているとヘミングウェイの話をしたくなりませんか?」と声をかけられた。「初夏が届けてくれる風はどこか妖しい匂いがしますね」との会話のあと、「今日は、この指輪をはずすことにするわ」と、さらに妖しい視線をおよがされた。❞
2024年5月21日(火)〜31日(金)
出会いは出逢いに変わっていく。
人生ってそれ( 出会い )だけって気がします。泣いたり、笑ったり、憤ったり、感動したり、すべて出会いから起きていますよね。って高倉 健さんがおっしゃってました。そうですね。その出会いの次のシーンがホテルでは毎日おこっているようです。だから、人生って面白いのかもしれません。
>> PM8 : 00 レストラン <<
想像するって、どこまでも翔んでいける。
❝ 観察・考察・推察・洞察。作家の藤本義一さんから学んだ言葉。藤本さんはこれを井原西鶴から学んだようだが、私は時々、これを用いて遊んでいる。ホテルのコミュニケーションのお手伝いのあと、あの有名なレストランでの食事となる。そこにはさまざまなゲストがいて、いろいろなお二人をお見受けすることになる。あのお二人はどんな関係なのだろうかと観察させてもらう。男性は意を決して何かを告白する日なのであろうが、女性の心は違う方向に想像の翼をひろげていらっしゃる。ホテルでは、客の数だけドラマが生まれているんだなーと、改めて感じる時間です。❞
2024年5月のとあるある日
5月の微熱のある風景【感じる】
生きていることを証明する最低限の機能を「感じる」という。その反対に、最大限にその機能を発揮したものをアートという。感じる能力は研ぎ澄ますこともできるし、何をしても感じられない分野も存在する。
>> 5月のとあるある日 <<
【 感じる 】 感覚機器の刺激を通じて情報を得ること、感情を抱くことを意味する語。
❝ 楽しそうに会話をなさっていたお方。ふと視線をはずされた。3秒後には、また以前の会話にもどられた。しかし、その会話は長くは続かず先に席を立たれた。きっとあの時、何かを感じられたのに違いない。こちらは残された方を見ているだけしかなかった。
男の感じるは、触手のようなものを外にのばすことで起動する。
女の感じるは、海綿状になっていて、内にとり込むことで動きだす。❞